2012年11月09日

最後の更新

リラクリズム.jpg


ずいぶん久しぶりの更新となりました。
でも、いま更新しているのは、このブログのタイトルにもある、
「整体院も経営する整体スクール院長」の植田ではありません。
私は植田院長のそばで働いていた従業員です。



院長は、今年の4月5日、白血病のためこの世を去りました。
そして、院長が渋谷に開業した整体院リラクリズムも、
10月31日をもって閉店いたしました。こうした節目を迎えたいま、
院長に代わってご挨拶ができればと思い、記事を更新している次第です。



プラスボディアン整体スクールも、院長の死と同時に閉校を
余儀なくされました。院長がひとりで教えていましたから、
代われる人などいなかったのです。



そのため、多くの生徒さんやこれから入学しようとしてくださっていた方に、
多大なご迷惑をかけてしまいました。
従業員のひとりとして、大変申し訳なく思っています。



院長はあまりにこだわりの強い人でした。
だから、数々の経験や研究を重ねて生み出した、院長独自の技術を、
他の誰かに任せて教えることなどできなかったのだと思います。



「命を賭けても復帰しなければならない」
院長は何度もそう言っていました。院長にとって、整体をすること、
そして教えることは、人生そのものだったのではないでしょうか。



仕事に戻るという、絶対に実現しなければならない希望があるから、
自分は過酷な治療にも耐えられるんだ、とも言っていました。
「どうしてそこまで…」と思うほどに、院長は必死でした。
最後の最後まで、復帰することをあきらめず、お医者さんに
説教されてまで「仕事に戻る!」と言い張っていたらしいです。



運命というのは、どこまでも残酷なんだなと思いました。
そりゃあ院長は、あまり善良な人ではなかったかもしれない。
でも、整体師という仕事や、それを多くの人に伝えていくことは、
院長が人生の中でようやく見つけた、
本当に本当に大切な夢だったのだと思います。



その夢は叶いかけていました。スクールへの入学希望者は増えてきて、
成功の兆しは見えていた。そんなタイミングで、病魔は襲いかかって
きたのです。



院長はずいぶん反省していました。
自分はこれまでいろんな人に迷惑をかけながら生きてきたから、
きっと罰が当たったんだと言っていました。



確かにそういうこともあるかもしれない。
でも反面、院長は苦労も多かったと思います。
お店を作り、お客様に来ていただくこと。
学校を作り、生徒さんに来ていただくこと。
それは単純なようでとても難しいことであり、
人から存在を許されない限り生き残ることのできない、
それはそれは過酷な立場に立たされていたことでしょう。



こんなに苦労して、こんなに反省して、来る日も来る日も
苦しい治療に耐えて…。それなのにどうして神様は助けて
くれなかったのでしょうか。もしあの世に、閻魔大王的な人が
本当にいるなら、院長はだいぶ抗議したんじゃないかと思います。
もしかするといまだに詰め寄っているかもしれません。



院長のぴったり半年前に亡くなったApple社のスティーブ・ジョブズは、
院長にちょっと似ているなと、私は思います。
二人に共通するのは、絶対に現実や運命に服従しないところ。



ジョブズは「現実歪曲フィールド」を持っていたと言われています。
それは、現実を歪めてまで何もかもを自分の思い通りにしてしまう力
のことです。



商品もサービスも人も、ふつうは無理だよねっていうことまで、
ジョブズはその現実歪曲フィールドの中に巻き込み、すべてを
望み通りにしていたそうです。



ある意味では、院長もその現実歪曲フィールドを持っていたのでは
ないでしょうか。院長は持ち前の強引さを遺憾なく発揮し、多くの
人を丸め込んでいました。泣く泣く院長の言うことを聞かされて、
院長の思うツボにはまってしまった人たちを、私は何人も知っています。



思い通りにならないとひどく怒り、完膚なきまで人を貶める。
自分はすぐ「できない」と言うくせに、他の誰かが「できない」
と言うことは絶対に許さない。なんて理不尽なんでしょう。



でも…、と私は思います。私は院長に怒られながら、気がついたら
ずいぶん色々なことができるようになっていたなー、と。



自分の頭で考え、自分の責任で実行すること。困難なことも、
できればやりたくないと思ってしまうことも、院長が絶対に
逃がしてくれなかったおかげで、私は自分の可能性を一回り大きく
広げられたんじゃないかと思うのです。あきらめていたら絶対に
見ることのできなかった景色を、院長は見せてくれました。



それはきっと私だけではなくて、院長と一緒に仕事をしたすべての人が、
同じように可能性を広げられたのではないかと思います。
「整体」という使命とともに、人から隠れた可能性や才能を、
(半ば無理矢理に)引っ張り出すというもうひとつの使命が、
絶えず院長の人生の底を流れていたのではないでしょうか。



いま思えば、院長が私たちに与えた数々の試練は、院長亡き後も
厳しい人生を歩んでいく私たちが、困難と立ち向かえるように、
決して逃げずに夢を叶えられるようにと、用意してくれたハードル
だったように思います。人生には、実に多くの伏線がちりばめられて
いるものだなーと感じます。



院長、私たちは、あなたの作ったお店を残すことができませんでした。
でも、あなたがいなくなり、やがてあなたを知る人も誰ひとりいなくなり、
ただお店だけが存続していくことが、本当に良いことなのかどうか、
私は疑問を持ってしまいます。



何人もの人が、あなたの死を惜しみました。
その全員が、あなたから多くのことを学びました。
あなたはリラクリズムとプラスボディアン整体スクールで
関わったすべての人の魂に、決して消えることのない刻印を
押したことでしょう。それは、永遠に残ります。



あなたは、私たちの人生の中に、これからもずっと存在し続けるでしょう。
あなたの精神は、私たちの心の中にしっかりと根を下ろし、
いつも、どんなときも、影響を与えていくことでしょう。
私はそのことの方がずっと大事だと信じています。



半年以上更新が途絶えていたこのブログを、どれだけの人が
目にしてくれるのかわかりません。でも、こういう人がいたんだ、
ということを、ひとりでも多くの人が知ってくれたら幸いです。



最後に、リラクリズムやプラスボディアン整体スクールに関わった方へ、
植田院長に代わって深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


スタッフ 星野


院長とスタッフ.jpg



※ 植田院長を知っている方へ

もしよかったら植田院長へのメッセージをコメント欄に書いてください!
天国の院長が見てくれていると思います!



【追記】2012.12
私(星野)から植田先生へ、最後の仕事です。
posted by うえだ at 13:54| Comment(16) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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